私のいとおしい残念な男達

 ダンッ

遮っていた足を降ろしたと同時に伸びてきた腕で、簡単に身動きとれないよう壁に押し込まれた


微かに青い蛍光灯と非常灯だけの、太陽の光も当たらない物静かな非常用内階段


近すぎて、抜け出そうにも抜け出せない
奴の胸板を力任せに押して顔を叛ければ、グッと顎を持たれ上を向かされる

「その分、奉仕して貰わないと……」


そんな言葉を発したその唇が、落ちてゆっくりと重なってきた


「んんっ!!」


この背の高い男に力で勝てるはずがない
歯を食い縛り完全な拒否を示す

しかし、奇しくも奴の方が上手だった


「ひゃぁっ!」


私の一番の弱点である脇腹をむにゅりと掴まれ思わず声を上げる

それと同時に入り込む奴の舌に口内を好き勝手にされる


「やめっ………んぅっ!」


くそぉっ………二日酔いのせいか力が出ない
脇を触るなぁ!!


その手を退けようと必死に腰を捩る私を、奴は躊躇なく深いキスで弄ぶ

もっと踏ん張りたいのに、カクンッと足が堕ち、逆に奴に支えられた


「やっぱお前、欲求不満だろ」


一度離れて息の掛かるほどの唇がふざけた事を言い放ち、また口角を変えて降りてくる

「小夏から俺と同じローズのボディーソープの匂いがする…………」


「…………っ」


調子にのって足を絡めてきた奴の革靴に、ヒールの先を思いっきり落としてやった


「つぅっ!……ってぇ!!」

一瞬開放された奴の手からすり抜け
さらにスネも蹴り上げた


「あ"ぅっ……!」

蹴り上げられた脚を引いて完全に手を退けた
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