私のいとおしい残念な男達


「お前なぁ……」

余程痛かったのか、その場に踞る黒木


「煩いっ! このぉ……変態野郎っ!」

目の前の奴にそれだけ言い放つと、身体を翻し重い扉から出ていった



「……………」

小夏が出ていった扉が閉まり、廊下を行く彼女のヒールの音が遠ざかる

「俺はまた変態野郎かよ………その変態に泣いてすがり付いてきたのは誰だよ、ったく」


座り込んだまま、彼女のその気の強さに思わずクックッと込み上げ、額を押さえ笑いを堪えた








最悪最低ーーー!!


本当今、ドラえもんにすがってマイムマシンに乗りたい!!

乗って戻って昨日の私に言ってやるっ

今日は酒を飲み過ぎるな、いや飲むなと、
しっかりしろ私って!!


「なんて、戻れる訳ないかぁ…………」



「小夏先輩、先に戻ってたんじゃなかったんですか?」


昼のミーティングが始まる、と私が戻ってくる様子を伺いにきていたモモちゃん

「ごめん、化粧直してた」

一応トイレに行って、舞子の言っていた虫刺されの確認と、黒木に乱された口紅を直した

くそぉ……舞子のやつ、キスマークなんてついてないじゃんっ

完全にカマを掛けられた


もう…………何も考えずに
とりあえず仕事しよ


「あ、そう言えば午前中にリストと数量が合わないって電話ありましたよ。あれ、豆関係だから井ノ上さんだと思いますけど」


「はあっ?!」


ミーティング資料を揃えながら、その耳を疑う出来事に頭を抱える

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