私のいとおしい残念な男達

「ふぅん」


「……………」


そのまま黙ってお互いの靴音だけを響かせながら、暗い道を歩く



思えば和馬と別れた事、家族には言ってないはずなのに、全く触れてこなくなっていた

今だって、彼氏がいないと宣言したようなものなのに、まるで知っていたかのような反応で、拍子抜けしていまう

きっと私の行動や態度で気づいたんだろう

あの頃は毎朝目が腫れていたからなぁ………



「例えばプロポーズされるとしたらどんなシチュエーションがいいの?」

「はぁ?!」


「例えばだよ。俺だって色々参考にしたいし」

参考………?

思わず耳を疑うよ、あんたからそんな言葉

「………あんた、彼女と結婚とか考えるタイプだっけ?」

私が知る限り、こいつは彼女が出来てもいつも短発みたいだし、それに今はそれらしき人物はいないはず………

見るからにチャラ男だし


「考えるよもちろん。例えばホテルのレストランでフレンチなんか食べながら、シャンパンで乾杯したその中に指輪が………とか?」

「ぷっ」と思わず想像すると吹き出しそうになる

「何それ、ちょっと衛生上問題あるでしょ?
もしグイッと飲み干しちゃったらどうするの?
誤飲で病院行きよ?」


「あー……じゃあ最後のケーキの上にとか?」


「それだって、もし断る場合にはどのタイミングで御免なさいって言えばいいの?」

大体そんなのレストランのコックさんが頼まれたって嫌がるわよ

食べ物や飲み物に指輪を入れるなんて


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