私のいとおしい残念な男達
ちょっと待って?
私がいつ黒木に優しくされた?
首を振り眉を歪ませる私に、目を細める二人
「無自覚とかどう思います? 舞子先輩」
「本当に苦労するわねぇ黒木君」
さっきまで言い合ってた二人が、今度はこっちに向かって共同宣戦を這った
「違うんだって、そう言うんじゃなくて……」
たぶん、今の私じゃ黒木とはまだ付き合えない
この先もどうなるのかも、わからない……
「いいんです。私は今週の合コンにも賭けてますから」
モモちゃんが開き直ってそう言った
「あー………モモちゃん、やっぱり私は」と、断ろうとしたが
「ダメですよ。小夏先輩には私に付き合ってもらいます」と、念を押された
舞子に助けを求めたが
「まあ、今誰かと付き合ってる訳じゃないしね、何事も経験が必要だし。久し振りでしょ?」
久し振りって、もうほんとに学生時代以来だよ
合コンなんて
そして、次の日の会社帰りには、モモちゃんにネイルサロンへと引っ張られた
「どこまで女子力落としてたんですか……少しはこの間言った事の自覚を持ってください」
爪先を整えてもらい、ジェルネイルのベースをぬってもらいながら、荒れていた爪の状態を隣から覗かれる
「…………あ、出来るだけ控えめなソフトネイルのでお願いします」
不思議なもので、綺麗になった爪をみると自然に気持ちが上がる
まるで自分の女性としての欲を忘れていたような気がする