私のいとおしい残念な男達
モモちゃんみたいに、目的をもって自分を磨くことが大切なのは分かっているけど
私の場合、まず自分を上げていく事から始めなければ
それには、うん。
ネイルはいいよね。
その後は、気分良くウィンドショッピングをしながら二人で駅への道を歩く
その駅に向かう騒然とした人の流れの中で、嫌でも目立つし、気にして無くても自然に見つけることが出来る
背が高く少し癖のある黒髪
遠くからだってそれがあいつだと分かる
「あれ?もしかして黒木さん?」
「………たぶん」
間違いない、黒木だ。そして隣には
確か、女優の日向瞳子さん
黒木の高校時代の同級生で元カノだっけ
「私、この間の帰りに黒木さんに聞いたんですけど……」
二人を、遠目ながらジッと視線を向ける私にモモちゃんが、遠慮ガチに話してきた
「高校3年生の時、1年間付き合ってたらしいですよ、あの二人」
この間と同じように黒縁眼鏡をかけて、深めに帽子をかぶっているのに、黒木の横で嬉しそうに笑う彼女がお似合いに見える
「進路の違いからお互いすれ違いになって別れたって……」
よくある話だ。嫌いで別れた訳でもなく、何年か経って再会して意気投合。
昔は若かったなって、なんとなく懐かしく感じて、焼けボックリに火がついちゃったりして…
「やっぱりアレですかねぇ、高3の付き合いって言ったらお互い初めての相手だったりして」