私のいとおしい残念な男達

「どんな企画?」

「残念だが、それはまだシークレットだ」

おっと?じゃあ何で話を振った………?

「ふぅん……で?」

帰りを急ぐOL達が、こんなところで立ち話をしている私たちを横目に通り過ぎていく


「何?」と聞く前に私に、黒木が紙袋を差し出した


「お前、弟いるだろう。これ石垣結衣の直筆サインと生写真。たいがいの奴がファンだから、やるわ」

「えっ……?!なんで?」

なんでいきなりこんな物?!
いや、確かに愁士はファンだったと思うけど

「他に欲しい奴いないから、いらねぇ?」

ふるふると顔を振り、紙袋を受け取るのにさりげなくネイルした指を気にしながら手を出した

「それと……今週の金曜、何か予定ある?」

「へ?」

受け取りながら、上げた顔が一瞬頰が引きつった

「何かあるのか?」

「へ……あ、モモちゃんとご飯に行く約束が」

目が泳ぐ

別に悪い事する訳じゃないのに

「ふぅん」

「…………」

気づくかと思ったネイルを隠すように紙袋を受け取った

「ありがとう、じゃあ」

そのまま別れて足早に会社のロビーを出た



合コンに行く事くらい言ってもいいのに
後ろめたいなんておかしいでしょ……?

和馬とだって別れて、彼氏いないんだから
28だし、そうゆう付き合いだってあっていいはず

………それに奴だって


「…………」







「愁士、ちょっといい?」

家に帰り弟の部屋のドアをノックする

「何?」

ドアを開けた弟の部屋の本棚には石垣結衣の写真集があり、ベッドの横にある壁にはポスターカレンダーが貼ってある

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