私のいとおしい残念な男達

愁士の言う事も、確かに一理ある
だか、オフィス街のビジネスホテルならまだしも、会社近くでもないシティーホテルの平日はあり得ないだろ………

「じゃぁ、本人に聞いてみたらいいだろ?アレコレと考えてないで。浮気したかどうか」

「うっ……浮気って、勘違いしないでよ
別にあいつが誰と何してようが私には関係ないし………っ」


話しているうちに、既に家の前までついて門構えを開ける


「案外単純に身体が大きいからダブルにしただけかもしれないぜ」

3段上がったところで下から、そう声をあげる愁士

その場で振り返り、弟を見下ろした

「…………この背広の持ち主の事、あんたはなんでそんなに庇うの?」


「え……」

立ち止まったまま、目を細めると、一瞬だけ間があいた

微妙に目が泳ぐ愁士を見て、肩で小さく息をついた


「言っとくけど、この背広は本当に借り物だから、あげられないからねっ」


「はっ………?」

「あんたって、昔っからすぐ人の物欲しがるから……」


「え…ちょっと待って姉ちゃん違っ……?」

呆れてまた溜め息をついた後、立ち止まったままの弟を背に、玄関の扉を開けた


「…………」




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