私のいとおしい残念な男達


そんなモモちゃんを宥めるように苦笑いすると、徐に名刺を差し出して私に渡して来た

「とにかく、その携帯番号に先輩の携帯から電話して下さい」


「へ?」

「水野さんのプライベート携帯の番号です。ちゃんと先輩から謝っておいて下さいねっ」

ビシッとそう言ってまた仕事に戻るモモちゃん


「…………はい、わかりました」


正直それも気が重い

私と黒木が出て行った後、人数が合わないからと、水野君は一人退席したとモモちゃんに聞いた




モモちゃんに言われて後日、謝罪の電話をした時に
「良かったらお昼でも御一緒出来ませんか?」
と言われ、その次の日のお昼


「え…………ここですか?」


着いた先は【三善庵】

あのモモちゃんが行きたがっていたステーキレストラン


「人気のあるレストランなんですよ」

そう言ってレディーファーストで扉を引いた水野君

知ってますとも、普通のOLランチの3倍の出費になる豪華ランチで、会社近くなのに入社してまだ一度しか来たことがない

しかも、予約しないと入店出来ないはずなに

「実は宇野さんに頼んでおいたんです。出来れば小夏さんから電話を頂きたいと」


「え?」

注文を終えて一息つきながら、照れ臭そうにそう言った


「さすがに僕からじゃ、会いづらいからね。まるで結婚式に新婦に逃げられたみたいだったから」


そう言う割には相変わらず爽やかな笑顔の水野君

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