私のいとおしい残念な男達
「本当にすみませんでしたっ」
モモちゃん同様深々と頭を下げた
確かにあの状況で、連れて行かれた私より残された水野君やモモちゃんの方が大変だっただろう
「まあ、彼の行動も解らなくはないけどね」
「…………」
「前に、君が連れ込まれそうになったのを目の当たりしてる彼だからね。心配するのもおかしくないし」
そう言われればそうなんだけど………
目の前のカウンターの鉄板で、普段テレビでしか見たことのない様なお肉の、美味しそうな焼ける音と匂いが食欲をそそる
調理人の華麗な鉄板さばきに、思わず見入っていまう
「それに、僕に下心がなかった訳じゃないからね」
「…………はっ?」
つい、お腹の都合に合わせてカウンターに向けていた視線を水野君へ切り替えた
下心………?
『和馬の知り合いの男だから、弁護士だから安全か? バカだろお前、大体男が何の目的で合コンするか分かってるのか?』
「…………ははっ」
「それで結局、黒木君と付き合う事になったんですか?」
そう言われ、ふるふると首を振った
「た、ただ怒られただけです。その気も無いのに合コンなんて行くなって……」
「それだけ?」
顔を覗き込まれ、首を傾げる水野君
モモちゃんにも、舞子にも黒木とのことを言われるが、そんな甘い雰囲気になった事なんか
「それは良かった」
「へっ?」
良かったと言われたのは初めてだ
「じゃあ、僕にもまだ望みがある訳だよね」