私のいとおしい残念な男達
言いようのない痛みで肘を抑えながら踞る
「何やってるんですか、先輩?」
「ご、ごめん……今」
モモちゃんが呆れて息をつく
「もう、いいですよ。私が倉庫に持って取り替えてきますから。先輩はこっちの収益データー処理しててください」
「あ、でも……それ重いし」
手をだせば、鋭いモモちゃんの睨みが落ちてきた
「一体どれだけ失敗すれば落ち着くんですか?」
「あ………」
「ここ最近、気がつけばぼけっと考え込んでるし、まるで頭が回ってないですよねぇ。かえって手間がかかるので手を出さないで下さい…」
入社して6年目の私が、完全にモモちゃんから三下り半を言い渡された
「…………」
言われた通りに、数とパソコンとの照らし合わせに集中しようと、ブンブンと頭を振り両手で頰を叩いて気合いを入れる
肩を上げ猫背になりながらパソコンの数字に目を向けると、その机の上にある携帯が震えた
【今日、またランチはどうですか?】
「…………」
大体午前10時の休憩前にメールが届く
食事を二回程都合が悪いと断ったら、ランチに誘われるようになった
画面を見ながら止まる私の後ろから、モモちゃんが覗き込む
「もう、私は付き合いませんよ」
振り向くと、腰に両手を当てて呆れている
断れずにモモちゃんも一緒にいてもらったこの間の三人でのランチでは、別れる際に「今度は二人で」とあの爽やかな笑顔で嫌みなく水野君に言われた