私のいとおしい残念な男達
PM7:15
「小夏、こっち」
さすが金曜日の居酒屋は、客の争奪戦とも言えるほど活気のある店内で迎えられる
その中で先に着ているはずの舞子を見つけた
「ごめんっ遅れた」
ここ最近のダメダメ状態を、週末の午後にハイペースで片付けて、急いだが少し遅れてなだれ込んだ
「大丈夫、1杯やってたから。あれ?モモちゃんは?」
「誘ったんだけど、急遽助っ人合コンで今日はキャンセルだって」
本当に会社をでるところで、モモちゃんの携帯からお呼びがかかり有無を言わずに彼女は方向を変えていった
「ははっ、頑張るねぇ」
今日の召集をかけたのは珍しく舞子だった
いつもは一緒の部署内で、私とモモちゃんが意気投合して舞子に声をかける手順だ
「焦って見つけたっていい事ないのに………」
いつものグラスワインを、既に2杯目に突入させていた舞子
こころ無しか、元気がないと言うかカラ元気にも見えるけど
「舞子は、何かあった……?そういえばこの前休んでたよね」
先に頼んでいたお刺身にもあまり手をつけていない様子だ
「ああ、うん」
「もしかしてまだ具合悪い?」
心配で顔を覗き込むと、ニッコリと笑顔を見せて首を振った
「実はね、この間お見合いしたのよ」
「……え?」
「親の勧めで、会うだけ会ってみないかって」
私が注文した中ジョッキが運ばれてきて、そのビールジョッキにグラスワインを「とりあえず乾杯っ」と言ってカチンッと当ててきた舞子