私のいとおしい残念な男達
「ほら、そんなの大きなお世話よ」
タイミングよく和馬からのLINE
【今、電話しても大丈夫?】の文字を見せる
「…………」
うっと惜しい弟をさっさと部屋から追い出し、彼の着信に電話をした
「もしもし和馬?大丈夫だよ。何?」
『小夏、家?』
「うん、今帰ったとこ。和馬は、会社?」
電話口から聴こえる音は、忙しそうな会社での騒音に間違いない
いつも夜中まで、消える事のない社屋20階以上の営業部
『そう、会議までまだ少し時間があったから』
なんだろう………急に
『………今日昼に何か用事があったみたいだって、さっき波瑠に聴いて』
「あ………」
そうか後から追い掛けて来た事、黒木に聴いたんだ
「そんな、大した用事でもなかったんだけど、でもそう………ちょっと話したいかな。
時間ない?」
『今?』
「うーん……時間取れない?」
忙しい時は、寝に帰るだけの彼のマンションで待ち構えているのも悪いし
『……………わかった。じゃあ、金曜の朝[珈琲水風温]に7時過ぎには行くよ』
「金曜ね。ごめんね、忙しいのに。」
会社の最寄り駅近くにあるカフェ[珈琲水風温]
朝は出勤前の会社員が多いselfカフェで、
昔はよく和馬のマンションに泊まった時の朝食に立ち寄っていた
『いや、俺の方こそごめん、いそがしくて』
見えないと分かってても、彼が申し訳なさそうにしているのが分かる