私のいとおしい残念な男達

「う………っ」

得意げな舞子に、思わず身体を引いた


「冗談なしでちゃんと胸に手を当てて考えてみたら?」

簡単に舞子はそう言うけど、
胸に手を当てて本当の自分の行く末の正解が解ったら、占いなんか要らないよね


一応言われた通りに手を当てて考えてみる


「どう?答え出そう?」

顔を近づけてきた舞子に対して、薄眼を開けてふるふると首を振った

「じゃぁ考えて、今どっちとキスしたい?」


「……………………はぁっ?」


「キスよ、きぃす。黒木君?それとも桐生君に似た水野君?」

「ちょっ………なにをっ、あ……っ」


タイミング良く携帯が鳴った

テーブルの上に置いた携帯の着信名を見てギョッとした



「でないの?」


舞子が、電話に出ない私を不信に思って覗き込んで来た


「出るわよ……」












「え…と 水野翼(みずのつばさ)君、でこっちは岬舞子同期入社なんです」


なんと……

電話をしてきた水野君は、友達と飲んでいると伝えたところ、舞子と飲んでいるこの居酒屋にわざわざやって来た


舞子との自己紹介を終えて、とりあえず彼のビールを頼んだ

「へぇ、女の子と飲んでたんだ」

「え?」


「もしかして疑ってました?」

4人掛けテーブルの私の隣に座った水野君がそう言ったのに、舞子が応えた


「僕の食事は断り続けてるのに、友達と飲んでるなんて言われたらね。ちょっと自信失くしてた」


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