私のいとおしい残念な男達

心地のいいソファーに身体を預け、深くゆったりと座りロックグラスに口を付ける水野君は、さすが違和感なく様になっている


「ここはビジネスの情報網にはうってつけの社交場みたいなとこだから」

そんな水野君が少し自慢気で、思わずクスッと鼻をかすめて笑った


「何?」


「いえ、水野君って本当に和馬が好きなんだと思って」

そう言って頰を上げる私に、呆れた様に彼が息をついた

「悪いけど、僕は本当にノーマルだよ……」

少し機嫌を損ねた言い方をした水野君に、小さく頭を下げた

「分かってます。そうゆう事じゃなくて、なんて言うか特別なライク(Like)みたいな」


「…………」


私を見つめた後、彼はフッと肩を落として覗き込んできた


「どうしてそう思うの?」


どうしてそう思ったんだろう………

「………何となく和馬と似せた仕草が」

「似てた?」


「似せてました……?」

そう言う私の前で、微妙に水野君の口角が上がる


「それは、そうすれば君が僕に落ちてくれると思ったからね、ってそんな簡単じゃない?」


見せたその笑顔は、いつかの会社で偶然会ってお茶した時のあの水野君だと思った

やっぱりなんか違和感あったもん……



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