私のいとおしい残念な男達
「……こんばんわ」
「小夏さんの知り合い?」
瞳子さんへの視線を挨拶した私に移す水野君
「いや、知り合いと言うか……黒木の」
2、3回見かけただけで、目すら合わせてない
「まだ挨拶してもなかったですよね?」
そう言って、お互いに水野君も入れて軽く自己紹介をした
「まさかこんな場所で会えるなんて思わなかったわね」
私もそう思う
って言うか、話しかけられた事にびっくりだよ
終始笑顔のまま「お邪魔してしまってごめんなさいね」と言って、もといた2、3人いるボックスシートへ戻っていった
とりあえず釣られる様に笑顔を見せて会釈して彼女を見送った
「驚いた、小夏さんあんな知り合いがいたんだ?」
感心するように口を開く水野君に、慌てて首を振った
「いや、私は直接には知り合いでもなんでもなくて、黒木と一緒にいるところを見ただけで」
「黒木君の? ああ、仕事上で?」
「同級生らしいですよ、日向瞳子さんとは…」
何だか焦って挨拶したためか、変な汗をかいた感じで、一気に残ったカクテルを飲み干した
「ふぅん……」
「………なんですか?」
徐に含み笑いをしながら水野君に顔を覗き込まれたので、思わず身体を引いた
「で、挨拶?」
それじゃあ納得できないとばかりに見つめてくる
「…………こ、この前の合コンで、黒木が会員制のラウンジに入ってこれたのは、たぶん彼女が一緒だったからで、その時ちょっと顔を合わせたんですっ」
その時は無視されたけど