私のいとおしい残念な男達

仕事なら、今でも映像に関することやってるんでしょう……?

「高校の時には大学で勉強した後、簡単な仕事をしながら専門学校に通って関連するプロダクションに入る予定だったのに、お父様が亡くなって、仕方なく今の会社に就職したんでしょ?」

仕方なく………?


首を傾げ、隣で話を聞く私に流し目をして、自慢気に話す


「大手だからって、自分の意が通らない体制で製作するんじゃぁ、自分本来の夢が叶った事にならないって」


「それは、黒木が言ってたんですか?」



「そう、二人で飲んだ時にね」


別に、私は黒木本人の夢なんて知らない

今の会社での仕事の愚痴は、和馬にこぼしている事はあったけど

確か和馬の口利きで入社したって言ってたっけ

黒木、会社…………辞めるの?


「私が黒木の仕事内容に、とやかく言う様な立場じゃないから」

「そう?じゃあ恋愛に関しては? それも関係ない?」


恋愛?

彼女のひいた赤いルージュの唇が嬉しそうに甲を描く

「波瑠君と昔約束したの。夢を叶えた時、お互いにパートナーが居なかったら、また付き合おうって………」


高校生の幼い約束なんだけど、なんて
そんな純粋な約束をする10年前黒木なんて

私は知らない


「久しぶりに会えたのが嬉しくて、つい盛り上がっちゃって………」



でも、鬼畜で女ったらしな奴なら知っている



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