私のいとおしい残念な男達
そりぁ、そんなに綺麗な女優さんだもの
それに仕事の話も出来て、昔話も出来て華やかで、自分の未来の夢まで切り開いてくれる
「それこそ、私には関係ない話です」
そう言って、その場で含み笑いをする彼女を顧みないで身体を翻した
「そうね、ごめんなさい。余計な話で……」
耳に残る彼女の声にイラつきながら席に戻った
席に戻っても、水野君はまだ電話中なのか、それとも他の用事なのか、席には居ないままだった
「何か、お飲みになりますか?」
品のいい黒服の店員が席の隣に着くと、テーブルには今まで飲んでいたカクテルグラスは引き払われていた
「すみません、お酒の事はよく分からないので、今まで飲んでいたものより少し強めのものを」
前に見つけたシティーホテルの明細書が頭にチラついた
…………あの、綺麗な顔にも私と同じ様にキスをして身体を抱きしめたのだろうか?
私とのことなんて、ただ蜂に刺されただけの出来事で、ちょっと腫れた傷が治ればなんの事はない
だから、さっさと胸に詰まるこの感覚を何かに流してしまいたかった
「これは…………どうゆうことかな?」
戻って来た水野君が、私を見下ろし呆れた声でそう言って溜め息をつく
顔見知りに会ったことで、多少遅くなって一人にしていた私のところに戻って来た時には、
完全に私はセーブ出来なかったお酒に飲まれ、ソファーに凭れ眠り込んでいた
「さて、どうしようか………」