私のいとおしい残念な男達

今回の阿部に任された案件は今までとは違い、古くからの商品イメージを壊さない条件の中で新しく斬新にと要望された外物件だか、
俺が出した企画を一度見直しされた事から担当を阿部に変え、俺はサポートに回った

がしかし、阿部の企画でも一度OKが出たにも関わらず、急にクライアントの担当が変わり今度は初めに出した俺の企画から立ち上げて欲しいと要望された

『やっぱり黒木さんメインでやってもらえないでしょうか?』

と俺たちの目の前でそう言われ、固まった阿部

実績に関しては問題はありませんと、相手に重々伝え納得はしていたが、当の阿部は今まだ頭に血が上った状態だ


まあここで、自分の限界もちゃんと把握しているのか、大きな溜め息を俺の前でついて、言われた通り帰る決心をしたようだ


感じ悪いな、おい


「飯、どうする?」

食べていく時間くらいあるだろうと、誘ってはみたがどうも都合が悪いらしい

「あァァ……」

歯切れの悪い返事に、こいつが新婚だという事を思い出した

「たぶん遅くなるって連絡してあるんで飯はないと思うんですが、ここのところ毎晩遅いから電話して何か買って家でたべます」


「そうか」

二人で生活するってことはやっぱりその辺気にするんだな


あ、そうだ

ふと思い出して部署内の給湯スペースに行ってみた

「あったあった、おい阿部っ」

今日訪問があった別の担当外注の奴が、挨拶代わりに持ってきたパック詰めされたマカロンの箱を阿部に渡した

< 256 / 410 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop