私のいとおしい残念な男達
彼らと私の事
◆◇◆◇


彼らとの出合いは、
2年前の社内の定例交流会だった



まあ………言ってみれば社内事業発表会みたいなもの
自分たちの部署はこんなすごい事してるんだよって


何といっても通常業務をしながらのプレゼン作業のため、発表メンバーは結構部署内の二十代の若手に押し付けられる

ただ、全く接触のない部署との仕事内容の交流が出来るから、当日は勉強にはなるが

入社3年目のハードな業務に加えての発表は終わった時の達成感が半端なかった。




「はぁ…………これはすごい」

いくつかの資料ファイルの中で、やっぱり目を引く部署は決まっている


「売り上げ高29億って、どんな桁数よ……」


それに伴った宣伝広告費率13.3%で…………売り上げ利益率64%って、はぁっ


何なのこの数字、さすが上層階部署

自社ブランド中心の家具や家電、コスメ部門の営業部や広告宣伝部署はさすがに売り上げが会社の中枢なだけあって規模も半端ない
見たことないような数字の桁を動かしながら、まるで日本の産業を手のひらに乗せているんじゃないかと勝手に思ってみたりして、
頬を上げほぉ……と唸ってみる


「きっとやりがいあるんだろうなぁ…………
大手の会社に入って目に見える商品うごかしてたら」

何となく溜め息なんてついてみる


入社してすぐに配属されたのは総務部だった
それから1年で新しい新規事業部として
輸出入部門『輸入事業部 3課』に、ちょっとした英語力を買われて配属異動された


輸入事業部とは言っても、初めは1課や2課の撒かない切れない商品の創庫番みたいなものだった

入社して3年

こうして社内の事業発表を見る機会がなければ、自分が大手の企業に就職した事を忘れてしまうところだ


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