私のいとおしい残念な男達


発表は2部制で、休憩が30分とられている
1部では社屋10階以下にある細かく別れた新規事業部中心の発表で、休憩を挟んで15階以上の中層階部署になる

この時に、微妙に発表開場での人の入れ替えがおこる


中層階部署からのものしか見ない上層階役員達
その一方で、自分たちの発表が終われば、後は仕事に戻ってしまう若い社員たち


かくゆう私も発表は終わったものの、
「たぶん来年もやってもらうからしっかり他も見ておいで」っと、一日業務から外され、ここでそのまま留まったまま

メンバーのうち、いるはずの井ノ上さんは、発表どころかプレゼン作業さえ手伝ってくれず、どこかへ行ってしまった

まあ、ハッキリ言ってあの人は苦手だからいいんだけどね

ひとりで休憩スペースのテーブルに腰を降ろして、資料ファイルを見直していた


30分の休憩は私にとっては長すぎるくらいだ


「あ、これ去年の
【la fleur unique(ラ・フルール・ユニック)】だ。確か新ブランドの…………」

目を留めた資料を捲りながら、少し頬を上げた

「ふふっ、あった………ange (オンジュ)だ」


それはうちの会社とフランスのコスメブランド【ange】との合作による新ブランド

日本ではあまり知られていないブランドのため
初めはただパッケージだけが注目され、

その機能性について何となく曖昧なまま
フランスコスメっていうだけで、「御高い」イメージだけが先行してしまっていた。


でも、その後シリーズ化されたCMや宣伝広告で機能性や割と30代をターゲットに背伸びしたい20代、明るく歳を重ねたい40代と、幅広いコスメブランドを謳い今でもその人気は衰え知らずって感じで…………


でも、私はそのフランスのコスメブランド企業【ange】自体を知っていた


「さすが、【ange】に目を着けるなんてねぇ」


「へぇ……【ange】を知ってるの?日本じゃ全然メジャーじゃないのに」

< 27 / 410 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop