私のいとおしい残念な男達
頭を下げ項垂れると、そこにパフッと手のひらが乗っかり、優しく撫でられた
「僕としては、この先を見越して手を出さなかったつもりなんだけど」
「さき………?」
使い終わったキッチンのシンクを最後まで磨ききって、終了させた
その布巾を洗い絞ったものを「はいっ」と渡され、受け取った私はシステムキッチンに備え付いたタオル掛けに干した
「こうゆうの、良くないですか?」
そのままキッチンに二人並んで立っている自分達を指差す
「こうゆうの?」
「…………そう」
ゆったりとした休日の朝
二日酔いでなければ、日差しが心地よくて、
次は洗濯して掃除して布団干して、それが終わったら買い物にでも行こうか…………
ってな感じ?
「ははっ………」
そうだね。本当、28歳独身女子の誰もが憧れるシチュエーションだ
「ねぇ小夏さん、君にお願いしたいんだけど」
スっとさりげなく私の肩に手を掛けた水野君に顔を傾けて、視線を合わせた
「お願い?」
「僕と付き合ってくれませんか?」
「えっ?」
「でもって、兄に会って欲しいんです」