私のいとおしい残念な男達
「はぁっ? 本当に部屋に泊まったの?!」
いきなり大声を出す舞子の口を慌てて塞いだ
「ちょっと、声が大きいっ」
いくら騒然とする食堂とはいえ、『部屋に泊まる』なんてワード、すぐに周りの耳に流れ込んでしまうだろっ
月曜日の昼食時
モモちゃんがまだセルフサービスの中で大人気のB定食へ並びに行っている間に、
先週居酒屋で悩み、アドバイスしたのちに会いに行った宮崎君との、その後の仲直り話を舞子に聞いて、ほのぼのした後
ボソボソと、逆に置き去りにされたこちら側の出来事を話した
「なんでそこで酒に呑まれるかなぁ、あんたは……」
「……………」
今まで舞子にも散々叱られてきた私の失態
ここへきて、もう怒る気力すらない様子で頭を抱えられた
はぁ〜っと盛大に溜め息をつき、さっきまでの晴れやかな報告をまるで黒く塗り潰してしまったようだ
「だって………」
一応、日向瞳子に会って黒木の話をして、訳のわからないイライラが、止まらなかったと言い訳したが
舞子には「そんな事どうだっていい」と言われた
「まさか、シタの……?」
舞子ならそうくるだろうと、すぐに両手で罰点を作りながら大きく否定した
服もストッキングも着たまま、彼は別の部屋で寝ていたと、朝食をとりながらした会話も交えて説明した
「ああ〜……こんな事なら、あの時黒木君を焚き付けるんじゃなかったぁ」
後悔を懺悔するように舞子が言う
「えっ?」