私のいとおしい残念な男達

「二人して、さっきから何あたふた赤くなったり青くなったりしてるんですか?」


希望通りのB定食プレミアム特盛り海鮮丼に舌鼓しながら私たちの前に座る


「「……………ははっ」」

顔を引きつかせながら、ついさっきまでの会話を止める


「も、モモちゃん……そういえば金曜日の助っ人合コンどうだった?」

話題を変えるため振った問い掛けに、ピクリッと反応してモモちゃんは箸を一旦止めた


「…………聞きたいですか?話、長くなりますけど」

「あ〜……」


その表情に楽しかった事はなかったようだ

「でも、やっぱり聞いてくださいよ先輩っ!」


海鮮丼を食べるペースを変えないまま、弾丸の様に話始める



「あ………」

聞く体勢を整える私の腕の服をさり気なく舞子が引っ張る

モモちゃんの少し離れた後ろの方に、企画部署らしい団体が


そしてその中にすぐ黒木の姿をみつけた




「ごめん。ちょっと行ってくる」

なんとなく身体の方が彼を先に見つけて、そう断った時にはもう席を離れて黒木の方へ向かっていた



「………黒木っ」


団体の比較的後方で、阿部君と話をしていた黒木を、2mくらい先から遠慮がちに呼び止めた


気がついた黒木が振り向き私と目を合わせた


「あ………ごめん、ちょっといい?」


視線が合った瞬間、なぜか自分でも驚くほど心臓が動く


「なに……?」


「え、あの……」


呼び止めといて、その黒木の冷やかな反応に、今度は動いていた心臓が一気キュッと縮まった


< 276 / 410 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop