私のいとおしい残念な男達
「二人して、さっきから何あたふた赤くなったり青くなったりしてるんですか?」
希望通りのB定食プレミアム特盛り海鮮丼に舌鼓しながら私たちの前に座る
「「……………ははっ」」
顔を引きつかせながら、ついさっきまでの会話を止める
「も、モモちゃん……そういえば金曜日の助っ人合コンどうだった?」
話題を変えるため振った問い掛けに、ピクリッと反応してモモちゃんは箸を一旦止めた
「…………聞きたいですか?話、長くなりますけど」
「あ〜……」
その表情に楽しかった事はなかったようだ
「でも、やっぱり聞いてくださいよ先輩っ!」
海鮮丼を食べるペースを変えないまま、弾丸の様に話始める
「あ………」
聞く体勢を整える私の腕の服をさり気なく舞子が引っ張る
モモちゃんの少し離れた後ろの方に、企画部署らしい団体が
そしてその中にすぐ黒木の姿をみつけた
「ごめん。ちょっと行ってくる」
なんとなく身体の方が彼を先に見つけて、そう断った時にはもう席を離れて黒木の方へ向かっていた
「………黒木っ」
団体の比較的後方で、阿部君と話をしていた黒木を、2mくらい先から遠慮がちに呼び止めた
気がついた黒木が振り向き私と目を合わせた
「あ………ごめん、ちょっといい?」
視線が合った瞬間、なぜか自分でも驚くほど心臓が動く
「なに……?」
「え、あの……」
呼び止めといて、その黒木の冷やかな反応に、今度は動いていた心臓が一気キュッと縮まった