私のいとおしい残念な男達
人混みから少し顔を傾ければ、視界に入る向こう側の黒木と阿部君の食事中の談笑姿
「それよりさぁ、この前のテレビでね……」
なんとなく見詰めているとみつけられそうで、すぐに舞子へ話題を変えてそっちを見ないように顔を背け、沈んだ気持ちを隠すために精一杯の笑顔をつくる
他愛ない会話を振った私に、舞子もそれ以上の詮索を諦めてくれた
横目に見ると、阿部くんと熱心に話をしている黒木
やっぱりさっき、面倒くさくて話を切られたんだよなぁ
『あっそぅ……しつこく電話して悪かったな』
奴の放ったそんなただの言葉に、いちいち傷ついている自分が情けない
自分から『ほっといて』なんて言っておきながら
「私、先に戻るね…」
逃げるようにその場を立って、舞子とモモちゃん二人になんとなくにへらんと笑顔を向けた