私のいとおしい残念な男達
「えっ、いや、何で?」
急に黒木の事を出されて、思わず顔を上げた
私の顔を腕を組みながら、まじまじと見て詰め寄ってくる
そして、ゆっくりと目を細め顔を近づけてきた
「この前この話をお願いした時より、今日はもっと面倒くさそうな顔してる」
そう言われて、思わず両頬を手で覆った
「…………」
「分かり易いね、彼に何か言われたの?」
否定の意を込めて頭をふるふると振った
「……いや……別に」
正直それも思い出すとへこむ
「恋人のフリを頼まれた事は話してないもの」
アレから、黒木は出張とやらに行ったのか、出勤時間や食堂でも暫く見掛けなくなった
ほっといてと自分から言っておいて、本当にほっとかれると寂しいなんてありえない
それにいつからだろう
一日中会社の中でどこかで会えやしないかと
視線を高くあげている自分がいる
「そういえば、あの事は彼に聞いたの?」
あの事……?
「黒木君が日向瞳子とより戻して京都に行っちゃうって話」
「……………へっ?」
一瞬何のことかと、思考が固まる
「覚えてない?かなり愚痴ってたけど、トイレで彼女に宣戦布告されたぁって」
水野君は見ていたかの様に、あの日私が日向瞳子に言われた事細かかな出来事を語り出した
あ、あ、え、それってまさか私…………が?!
どうも私はその場であった事をすべてを彼に語ったらしい
そうだ、基本私は絡み酒なのだ
ただ眠り込んだだけではやっぱりなかった!!
「私、そんな事を………?」
もう、恥ずかしさがマックスで熱く赤面状態の顔を手で覆った
「グチグチ言ってたけど、大体君が黒木君をどう思っているか分かったよ」
「…………っ」
どんな醜態だったのか、想像したくない