私のいとおしい残念な男達
思い出したように肩を揺らし笑う水野君
「うぅ…………っ」
「まあ、君がその胸の中で誰のことをどう考えていようが、それは個人の自由だから。でも相手が自分をどう想っているかを知りたいなら傷付いてでもちゃんと真相を確かめたら?」
呟くようにそう言う水野君は、
ぬるくなって元々自分の口に合わないselfカフェのコーヒーを弄び揺らす
「でも…………もしそれが出来ないで、なにもかもリセットしたいのなら、お互い協力するって手もあるけど…………」
「協力?」
残したままのそれを飲み干して、彼はテーブルに頬杖をついた
「……それ、私の事?」
私の事だけじゃない気がする
「あのぅ水野君、聞いていい?」
やっぱり気になる、カモフラージュで
『現在の恋人』を紹介しなといけない理由
ただの恋人代行ならもっと早くに女友達にでも頼んでさっさと済ませればよかったはずなのに
ワザワザ先に部屋を小細工する必要があったのか?
「お兄さんが水野君の恋愛事情を気にするのって、やっぱり婚約者さんと水野君の今の仲を疑っているからじゃ…………」
あの使いかけのスキンケア品や化粧品の本当の持ち主を疑ったから…………って言うのは、私の考過ぎだろうか?
私が聞きかけたその口に、待ったを掛けるように人差し指が伸びてきた
「君が今は誰をどう想おうが、僕が詮索しないのと同じように、僕の心中も勝手な想像で探るのはしないで欲しいな」
水野君は今、リセットがしたいって事なんだろうか?
でも、私より遙かに頭がいい彼は、これ以上自分の事情を話してくれそうもないだろう