私のいとおしい残念な男達
少し距離を置いたからといっても、きっと何も変わらないと思っていたが
出張帰り、一度会社へ戻る途中
フッと視線を向けた先のガラス張りオープンのカフェにいる小夏を見つけた
「……………」
もちろん小夏一人ではなかった
待ち合わせに使われるカフェだから、話をしているようだが、これからどこか飯でも食いに行くんだろう
心なしか、顔の赤らめその頰を両手で覆いながら話ているその姿に、思わず足を止めていた
なんだ、そうゆう事か
水野っていったか、確か和馬の大学の友達で、弁護士資格を持ってるとか
大体、和馬と同じ大学の法学部なんていったらおよそ金持ちで、異常に頭が良くなければ入れないはずだ
親の事務所にとか言ってたもんな
あんな会員制のホテルラウンジ御用達だし
そういえば岬が、あいつは和馬に性格が似てるとか言ってたな……
あの時も俺が無理にでも迎えに行ってたとしても、今の状況は変わらなかったか
「最近、あいつどうしてる?」
「姉貴?別にいつも変わらないけど?会社で会わねぇの?」
俺のビールがきたところで「お疲れさん」とジョッキを重ねて一口を一気に流し込んだ
「会ってねぇよ、部署違うし俺今仕事忙しいからな」
先に愁士が頼んだつくね串を口に頬張りながら愚痴気味にそう吐き捨てた
そんな俺の顔をジッと見詰めてきた愁士
「姉貴、怒ってんじゃねぇの?ハルさん浮気したんだろ?」