私のいとおしい残念な男達

思い出した様にそう言う愁士

「そうかもな、また飲み過ぎなきゃいいがな」

落ちた顔を見せないように、まず一杯目のジョッキビールを飲み干した



「あー、黒木さんっ」


騒がしい店内で後ろから聞き覚えのある声に呼び止められ振り向けばやっぱり


噂をすればなんとかって、いつものメンバーだ
岬舞子と後輩女のなんとかモモだっけ


「お前ら、また女子会か?」


その二人は視界に入ったが、肝心な小夏の姿がみえない


「小夏はいないわよ」

俺の視線を読み取ったらしく、岬が開口一番にそう言った

「今日、先輩なら水野さんと企業パーティーに行き…………ンムッ?!」

サラリと後輩女がそう言ったのを、慌てて岬がその口を塞いだ

思わずピクリと眉が上がる

「水野………か」

あのまま、きっと何度も会ってるんだろう



「ん?………なぁハルさん、今の水野って誰?
今日あいつ女子会じゃないんだ」

俺たちの会話を聞いていた愁士が何気に口を挟み、そんな愁士に岬が視線を移した


「お前小夏から何か聞いてないのか?」

とりあえず愁士の疑問に対応したが、家では何も話してないのか、知らないと首を傾ける小夏の弟に、岬が疑問を投げかけてきた


「この人、小夏の知り合いなの?」


小夏と大学からの友達だからとはいえ、弟の顔までは知らないらしい

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