私のいとおしい残念な男達
「忘れものして、取りにきて……」
「今、エレベーターも動いてないよ、電気の一斉点検の事聞いてなかったの?」
辺りが暗いせいだと思うが、意外に近いその距離感に思わず身体を引いた
「わ、忘れてて……暗いのが苦手だから」
声の震えが抑えられないまま、
でも自分の携帯以外の彼のライトで増した周りの明るさに気持ちが少しホッとした
「じゃあ一緒に行こうか、僕も書類を置きに来ただけなんだけど、確かにここまで暗いと思わなかったよね」
そう言ってクイッと腕を掴まれた
「あ……っ?!」
私がヘタリ込んでいたからだろうが、この近さで腕を掴まれると、思わず腕を引きその手を振りほどいて拒否した
「あ………ご、ごめんなさい。今友達を待ってるので、大丈夫です……」
「…………」
親切にしてくれているのに、こうゆう状態が苦手でとってしまった態度
一瞬の間と沈黙に、はっきり見えない彼の顔が不機嫌になった気がした
「でも、エレベーター動いてないのに、その友達いつ来るの?こんなところで座っててもなかなか来ないと思うよ」
そう言って呆れたような溜め息をつかれた
チッ……
頭の上から微かに聞こえた舌打ちの音に、俯いていた顔を上げた
「本当はここで何やってたの?」
さっきより低い声が落ちてきた
「えっ……?」
「なんか悪い事でもしてたんじゃないの?」