私のいとおしい残念な男達


スッと隣から人の気配を感じ、頭に大きな手のひらが乗る

「ここ」

間違いなく隣にいるのが黒木だと分かるように、携帯ライトで照らした自分の顔を見せられた


「あ……」


「なに?こいつ」


そう言って、黒木はすぐ目の前にいる男に目を細めた


突然現れた存在に、伸ばされた手を離し引いたその人に今度は黒木が身体を向けた


咄嗟に黒木の腕を掴み、前に出る奴を止めた


「違う、大丈夫……」

何が違うのか、大丈夫なのか……?
取り敢えずもう、どうでもよかった


「と、友達……来たんで」


黒木の腕に顔を伏せながら、その人に何とか聞こえる声を出しそう言った


だからもうどっか行って



私の隣でしゃがんでいる黒木を前に、
「はぁ、そっ?」と言い離れ、暗い中でその人の携帯ライトが部署の入り口から出て行くのを見送った



「…………」



「小夏?」


いつの間にその安心できる腕に、自分の止まらない震えを抑えるように絡みつき、顔を埋めた



「………大丈夫か?」


気が付けば私を覆うように近くから、なるべく明るく携帯ライトを照らしてくれていた


「お前、暗いのダメだろ?まだ後暫く電気つかねぇからな」


改めて見ると、少し息の切れ顔に汗をかいていた


もしかして走って来た?
確かさっきエレベーター動いてないって……


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