私のいとおしい残念な男達
「はぁぁっ…………」
七瀬小夏(ななせこなつ)27歳
人生最大の不覚だ………
臭いと言われれば確かに、
昨日は飲み過ぎたらしい
うぅっ……………
記憶が所々カットされながら覚えているような
いやいや、もう忘れてしまえっ私…………
熱いシャワーを頭から被り、こうなったらメイクも落として髪の毛も体も洗って、昨日のあいつとの事なんてしっかり跡形も無かった事にしてやるっ
「…………おい」
バスルームの扉の前に人の気配
「なっなに?!」
まさか入ってこないでしょうねぇっ?!
「もしかしてお前、昨日の事覚えてねぇの?」
扉越しの会話にシャワーを止める
「…………何にも覚えてない。なんで私が黒木とこんな所にいるのか、全然解らない」
「そっか………」
一瞬、チィッと舌打ちしたような音が聴こえた
シャワーを終えると、洗面所に私の服と下着が置いてあった
ベッドに座り、Yシャツに袖を通している後ろ姿のあいつ
和馬の隣にいるからひょろひょろに見えてたけど…………結構肩幅あるんだなぁ
「……………」
思わず頭に昨夜その時の、私の上にいた奴の胸板から肩の意外な筋肉筋が浮かぶ
やだ………私の頭の中、結構覚えてんじゃん
思わず顔が茹で上がりそうなくらい熱くなる
Yシャツのボタンをラフに嵌めながら私に気が付いて、「プッ」と笑いやがった
「クックッ………ノーメイクかよ。それで会社行くのか?あり得ないだろ」
バスルームにあるリンスinシャンプーは、ドライヤーを掛けると髪が広がって、バサバサになり、メイクを落とした顔は突っ張ってて、服もしわしわだ
本当だ、もう女終わってる………
「午前は休んで家に帰るわよ」
このままこいつと一緒に会社なんか行けない
「ふぅーん……」
洗面を使い終わった私の後に入れ違いで顔を整える
普通の男より目鼻立ちがよくて、俳優みたいなその顔の髭を剃って簡単に顔を洗う
そんな奴に、話し掛ける
「…………あのさぁ」
「なに?」