私のいとおしい残念な男達


シン………っと鎮まりかえったオフィスの中

少しずつ微かな音が聞こえる

それはたぶん窓の外の車の音だったり、非常灯の電気の流れの音だったり

そんな静かな音を意識するほど気持ちは落ち着いていた




「…………なぁ」


頭の上にあった黒木の声と顔が、少し下がってきた


「あいつと、付き合ってんのか?」


「え……っ?」


その胸から少し顔を上げると、比較的近い黒木の顔に、心臓が膨れ上がった


「え、なに?」

聞かれた事が、恥ずかしさで一瞬分からなかっ



「水野………ってか今日も会うんだろ?」


えっ?


あ、水野君と………?


「あ"っ!!」

思わず声を上げた

そうだった、パーティー!!

すぐに、今の時間を見るために黒木から離れた


「忘れてたぁっ!! 今ならまだ間に合う……」


約束の時間は19時半に駅からタクシーに乗って、パーティー会場のこの間のホテルラウンジへ


「おいっ」


慌てて立ち上がる私の腕を、今度は黒木が強く掴んだ


「………付き合ってんのか?」


「えっ?」

ジッと睨むようにそう言う黒木の言葉をようやく理解した

「し、してない………ってか付き合っないっ」


「はっ?」


一瞬頭がパニックった


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