私のいとおしい残念な男達
それをただ必死に顔を逸らし奴の腕の中で視線を合わせないように下を向く
「…………プロダクションで一緒に仕事したいって、誘われてるんでしょ?最高じゃん、あんなに綺麗な有名人に見初められて」
皮肉っぽく、無理やり口角を上げて行き場のない気持ちを隠すように苦笑する
本当に自分が嫌になる
暗いオフィスで年甲斐もなく震えて、怖い思いしているところに
1番来て欲しかった奴が来てくれたのに
出したくない言葉しか、口から出てこない
私の言いぐさに頭の上から溜め息が落ちた
「そんな話、誰がお前にしたんだ?」
「………日向瞳子さん御本人からに決まってるじゃん」
「いつ?」
「………………」
「小夏?」
離れられるのは胸板から伸ばした私の腕のその間だけ
「別に聞きたくて聞いた訳じゃない、向こうが勝手にそんな話をしてきて……」
いつまでもモヤモヤと眉間に皺を寄せた顔しか見せられない
「言っとくがあいつとは何もない。久しぶりに会った同級生ってだけで、そのプロダクションの話も大して話した訳でもないし、乗るつもりもねぇよ」
奴も、まるで私が我が儘でも言ってるように呆れ惚けた言い方をする
「…………」
「昔付き合ってたって言ってももう10年も前の事だし、今更そんな関係になんか…………」
「噓だ」
「は?」
「…………見たもん二人でいるとこ」