私のいとおしい残念な男達


「お前にとって、俺そんなに信用ならない奴なのか?」


真っ直ぐと向けられた正面にある黒木の視線

そのまま口を閉ざし、奴の腕から手を放してその眼にかざし、奴の視線を隠した

「小夏……?」

暗いしハッキリ見えないのに、その切れ長の眼に思わず息が詰まりそうになる


「……………っ」

今まで通りでいたいのならもう、どうでもいい事なんだから




「信用したら、どうなるの?」


私の今の顔を見られないように、手のひらで奴の視線を遮ったまま答えをさがす


「どぅせまた………同じじゃん」

今まで付き合ってきた彼氏と同じように、特別を求めれば
いつかまた傷つけられてしまう

「……同じ?」

「だったらこのままの方がいい………」


「……………」

奴の手が、目隠しする私の手をはずそうとする

「俺は、これからも和馬の……お前の元カレの友達止まりか?」

目を細めその視線が突き刺さる

「…………そう」

このまま、仲の良い友達のままでいた方がいい

「…………っ」

力任せに手首を掴まれて、目を逸らす私の顔を正面から覗き込んでくる


「へぇ……じゃあ俺がお前以外の誰かと付き合って、結婚したっていいって訳だ」

「…………」


「彼女が出来たらもう、お前との関わりもしないかもな」

「……………っ」


「それでも、平気か?」

低いトーンの声が下に俯いた私の頭の上から落ちてくる


そうした方が、もう傷つかなくていいじゃん
時間が経てば苦しくもなくなる

かも



「バカかお前は……我慢してんじゃねぇか」



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