私のいとおしい残念な男達
ボチボチな
「困りますよ、忘れ物取りに来たならちゃんと声かけてくれないと」
「すみません、すぐ見つかると思ったんですが、実際こんなに暗いと思わなくて…………」
私も黒木も会社の裏通用口からこっそりと入ったため、停電が終了後の見廻りにきた守衛さんと鉢合わせした
「一応、社員部署名と社員番号と名前の記入しておいて下さい」
「…………はい」
一階の管理室で二人揃って頭を下げた
「で、探し物は見つかったんですか?」
「はい、おかげさまで………」
バツが悪そうに、探し物である充電の切れた私の携帯を少し持ち上げて見せた
「「…………」」
電気がつき、明るくなったフロアーで、かろうじてエレベーターの動く微かな音に気付いて、なんとか黒木のその気を止めた
退社する前に更衣室へ寄って、パーティーに行くためだったワンピースを着替えて一階に降りようとした時に、守衛さんに見つかったのだ
本当に、あのまま致してたらどうなっていたか
「小夏」
会社を出て、すっかり遅くなった時間
パーティーに行くはずだった予定もなくなって、仕方なく駅の方へ足を向けたところで黒木に手を引かれた
「時間あるだろ?飯行くぞ」
「…………うん」
暗闇の中で言い合って、なんだかそうなった関係に改めて向き合うとちょっとぎこちなくなる
でも黒木に絡め取られた手は、そんな事お構いなく自然と握られた