私のいとおしい残念な男達
「で、あんた何飲むの?」
「…………えっと、じゃあグラスビールで」
会社から駅に向かうのと反対方向にタクシーを走らせ、繁華街から10分くらいの離れた場所についた洋風居酒屋
………結局連れてこられてしまった
一般的にイケメンの部類に入るだろう、
好感のもてる優しそうな男と無表情で口の悪そうな男
個室に仕切られた4人用のテーブルを囲んで目の前と横に座っている
「ええと………」
「ああ、俺が桐生和馬でこっちが黒木波瑠登。よろしくね」
横に座る桐生と名乗る男が、相変わらず愛想良く紹介を始めた
う…………自己紹介されてもやっぱり知り合いじゃないよね
「はい、あの私は……」
「七瀬小夏だろ、知ってる………ってか俺らの名前も知らねぇでノコノコついてきたのか?」
はぁっ?! ノコノコって………
悪態をつく目の前の黒木とか言う男をキッと睨みつける
「あんな大声出して会社の前で呼び止められて、挙げ句に腕掴まれタクシーに乗せられたんでしょうがっ!」
しかも、無駄にイケメンで背の高い二人で周りからの視線がハンパなかったし
『おらっ、何無視してんだ七瀬小夏っ!』
なんてフルネーム名指しされて
一体何なんだ?
「あの、私とお知り合いでしたでしょうか?」
オズオズと愛想のいい方に聞いてみた