私のいとおしい残念な男達
目を細めてジッと見送るが、こっちにはもう振り向きもしないで行ってしまった
「………黒木は、随分愁士と仲がいいのね」
「まあな、案外と気があうからなぁ」
ほぉ……一体、いつから二人でどんな話をしてたんだか
「チッ、やっぱり予約済みかぁァァ」
残った4人で愁士を見送るそんな中、モモちゃんがボソッと呟いた
貴女は誰でもいいんかいっ!モモちゃん
「じゃあ私、バスだから」
「小夏先輩お疲れ様でした。また明日」
駅に着くや否や舞子とモモちゃんがそれぞれの自宅方向へさっさと足を向けた
「黒木さんもお疲れ様でしたぁ〜」
ん?
モモちゃんは黒木と同じ方向のはずじゃあなかったっけ?
「おお、じゃあな」
それが当然のやり取りのように手を上げ見送った黒木
「小夏、行くぞ」
そのまま今度は、私の自宅方向の改札へ足を運んで行く
「……………」
当たり前のようにいつもの私の電車に乗り込み、暫くして空いた座席に私と黒木二人並んで座った
車内では誰もが帰宅中的な空気で、お互い言葉も交わさずなんとなくただ黙っていた
ふと、隣を見上げると目に入る黒木の首中央にある喉仏
私はそれが好きなのか、思わずジッと眺めた
「何?」
視線を下げてそう声を出すと、やっぱりクィッと喉仏が動く
「え、いや別に」
顔を背けると、隣から肩へ重く凭れ掛かってきた