私のいとおしい残念な男達
駅を出て、私の家の方向に向かって前を歩く黒木
後ろについて歩くと、後ろを振り返った黒木がコンビニの前で止まった
「寄っていいか?」
入って、真っ直ぐスイーツ棚に向かい、少し考え込んだ後プリンを2個取って、レジに向かった
妹さんにかな?
コンビニを出ると、2個買った内の一つをプラスチックのスプーンと一緒に、私に差し出してきた
「好きだろ、プリン。今日帰ったら食べろ」
「え?」
私にくれるために買ったの?
「もう1個、俺も家帰ったら食べるから」
「…………?」
プリンの入った袋を手渡され、訳が分からず顔を上げた
直ぐにそのまままた手を取られ、自宅への暗い道を歩きだした
「黒木?」
「……………」
「プリン、ありがとう」
でも、黒木は甘い物あまり得意じゃないよね?
プリンは大丈夫なんだろうか?
一緒に歩く歩みは私に合わせて、比較的ゆっくりだった
そんな中、ボソリと黒木が呟いた
「ただのきっかけだがな」
「きっかけ?」
見上げた視線は目を細めた黒木とすぐに合った
「メールの話題作り、たとえば『プリン美味かった』とか」
「黒木、プリン好きだっけ?」
餌付けされてるって事かな?
なんだか自分が素っ頓狂な事言ってるような気がする
「プリンが好きなのはお前だろ?」
「…………うん?」
なんだか会話が噛み合わない