私のいとおしい残念な男達

違う

信用してないんじゃなくて、自信がないだけ




街灯もない暗い住宅街の道端

無駄に黙っていて、二人とも歩きだそうともしないまま


「………じゃあ、ほらっ」

私の目の前に差し出された黒木の小指


「?」

ゴツゴツしていて長い指

私の薬指くらいある


「約束する」


ん?

「別れないって約束してやるっ」

んんっ?

「…………やくそく?」


その指先を眺めていると、
「指切りだろっ!」なんて懐かしい響きが……


んんンッ?!


顔を上げて黒木を見上げて見ると、意外と真面目な顔して言ってらっしゃる

「ゆび……きり……?」


「ああっ!」





「………ぶっっ」


なんて事だ


「クックッ………」

信じられない

「クックックックッ………」

『別れない』なんて約束、ある意味この歳じゃプロポーズみたいなもんなのに

「あはっ……はははっ」


それを、事もあろうに


「あはははっハハハハッ………っ」


「こ、小夏?」

まだ小指を立てたまま、私の言動を見つめている黒木


ダメだ、笑いのツボに落ちた

「あはははハハハハッ!!」


でも、やっぱり黒木のこうゆうところが




好きだ




「ごめ………あはっ、ごめんっ」

まだ息が切れない、涙出てくる

「クックッ………」


「………お前、馬鹿にしてるだろ」

咄嗟に口元を押さえながら首を振る

が、頰が緩む


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