私のいとおしい残念な男達
目の前の微妙に元気のなくなっている黒木の小指に、すぐ同じように私の小指を絡めた
「本当に約束していいの?」
今にも込み上げる笑いを抑えたまま、黒木を見上げる
「だって、針千本だよ?飲める?」
声がうわずってつい口角が上がってしまう
「っんなもん、別れなきゃ飲まなくていいだろっ!」
そんな事真剣に、自信持って言うから
もう………
「私、黒木のそうゆうとこ好き」
小指同士を絡めて、嬉しくて緩みっぱなしの頰を上げたまま
自分が言葉に出している事さえ気づかなかった
♪ ゆびきりげんまん、う〜そついたら
針千本の〜〜ます
指切ったっ! ♪
なぁんて、さすがにこんな夜中の住宅街で歌までは歌わず
絡めた小指を上下に小さく揺らしながら、心の中で歌った
「なんか、機嫌なおってんだな………」
私の顔を見て、複雑そうに眉を顰める黒木
機嫌が悪かった訳じゃないけど、なんとなく
気持ちが変わった
単純だけど
やっぱり黒木だ
「初めて聞いたな……」
「え?」
なんか照れくさそうに頰を緩ませ、口元を押さえたままの黒木が目を逸らす
「………好きって」
あ………
「そうだよなぁ、やっぱり」
いや、あの………それは、ってかやっぱり?
「わっ!」
指だけが絡んだ距離がいつの間にかすっぽりと腕の中に抱き込まれ、キュッとその胸に埋められた