私のいとおしい残念な男達
黒木の心臓の音がしっかり響いてくるぐらい
これでもかって抱きしめてくれるから、
そっと背中に手を回した
………少しずつ身体が傾いて、背の高い肩が降りてくる
ってちょっ、ちょっと!
「むぅぐっ……」
上手くキスへもつれ込みそうな体勢のその顔を、寸前に両手で抑え、力いっぱい阻止を試みた
「ここ、うちの前だから」
すでに家の前で、さすがに御近所さんのどこから見えてもおかしくない場所なんだ、ここは
「うぐぅぃくらだぎぐぅだぅ…」
(暗いから大丈夫だろう………)
押さえ込んだ顔が押し戻される
「こらこらこらぁっ」
「…………」
「たぶん、親もまだ起きてるからさぁ……」
ここでさっきまでの押し問答にもしかしたら気がついているかもしれないし
「あ、じゃあ挨拶するか」
「?!」
何を言い出すかと思えば?!
ぶんぶんと顔を振る
「いやいや、そうゆうのはいいからっ!」
胸を押し出すと何気に剥れて顔を上げ、家を見上げる
「?」
「…………」
「………なに?!」
「和馬は挨拶したんだろ?」
「へっ?」
なぜそんな事知っている
それはただ、送ってくれた時にであって………
付き合ってた間確か2、3度くらい親に出くわしたけど………
「……………」
つい和馬の話題に、黒木の前で視線をあらか様に逸らした
だってそんな事聞きたくないでしょ
私だって話難いよ