私のいとおしい残念な男達
が、

呼び止めてゆっくりと振り返る父親に


「私ね、彼氏ができた」

本当に自分の行動が意味不明だ
なぜここでそんな事宣言してしまっているのか

たぶん言われた方も少し驚いているようだ


「…………そうか」


「うん………」


なんとなく静かな空気が流れた


「今度は………上手くいきそうなのか?」

今度はって………っ
まぁ、そうだねぇ和馬からの後だし

「さぁ………どうだろう」

小さく頭を傾げて苦笑して見せた


「その…………まぁ、ボチボチな」

「うん?」


ボチボチ………?
さっき黒木も言ったこの言葉って、私に対してそうすべきっていうこと?

「ボチボチねぇ……」



「なにも急ぐこともないと言うか、別にダメでもいいって言うか………」


ダメでもいい?

顔を上げて見ると、言いたい言葉が見つからないようだ

「分かってる。別に焦ってないし、それにまだ付き合ったばっかだし」


言いたい事は分かる、和馬の事もたぶん踏まえてだよね

「そうか………じゃあ、まぁおやすみ」


「おやすみなさい………」


本当、なんでこんな会話したんだろう

きっと、黒木がいつか挨拶するなんて言ったからだ

寝室の扉の閉まる音まで見送ていた私



「何してるの?」


引き続いて母親登場

調度お風呂から出たようだ

「んー……父娘の会話?」


「?」


どうせ今の父親との会話は後母親にも伝わるんだろうと、そのまま身体を2階へと向けた

「あっ、そうだ愁士遅くなるって」


そういえば、もう実際帰る電車があるんだろうか?一応伝えてはみたが


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