私のいとおしい残念な男達
「あ、じゃあ七瀬さんやっとOKしたんですね」
「なんで小夏だと分かるんだっ!」
「…………」
わからないと思ってたのか?!
この一年間
(正確には桐生さんと七瀬さんが完全に別れて、桐生さんがロサンゼルスに行ってしまった後から今日まで)
ちょこまかと仕事の合間に抜けしては様子を伺いに行ったり、偶然を装って居酒屋に探しに行ったりと、やってる事が女子高生かって………
この人、自分が結構モテる事忘れてんじゃないか?
「なぁ、阿部」
「なんですか?」
少し考え込んでいる黒木さんに視線を向けると、その表情はやっぱり緩んでいる
「上手く………いくと思うか?」
なんともまぁ、弱気な
人の仕事まで簡単に掻っ攫ってこなしてしまう人が、女一人にビクつくとか有り得ないだろう
「さぁ?」
ああ、なんか面倒臭くなってきた
「いや、まぁ大丈夫だがな」
自己解決したよ
絶対人の話聞かないよなこの人は………
そしてこうして俺には言ったものの、パッタリと女子社員からの誘い呼び出しには全く応じなくなったのだ
おかげで連日呼び出されるのは俺って訳だ
俺はこの人の腰巾着かよっ
噂の真相を知るために聞きにやってくる黒木さんのファン達
「そんなの黒木さん見てればわかるよね」
それに対応している俺も俺だが