私のいとおしい残念な男達

足早に会議に向かう黒木さんを七瀬さんと一緒に見送った


「…………」


「阿部君も忙しそうね。大変でしょ、黒木と一緒だと」

「いえ、黒木さんほど忙しい人はいませんから、仕事抱え込ませているのが逆に申し訳なくいですよ」

彼女より若干背が高い俺を、首を傾げて覗き込んでフフッと笑いかけてきた


「でも、やっぱり黒木は大変でしょ?ある意味」

「………確かに、あの人かなり飛び抜けてるからある意味は」

親しく近くにいる人しか分からない見た目とは違う黒木さんをやっぱりこの人は見ているんだなぁ



「………あの、七瀬さん?なんで付き合う事になったんですか?」


俺が何度も呼び付けられて聞かれる質問をこの際聞いてみよう

「えっ?!」


「…………」

ん?そんなに驚くことだろうか?
明らかに様子が変わって狼狽えているが………


「………やっぱりおかしい?」


「え?」

おかしい?

「釣り合わないよね、側から見たら」


釣り合わないって、貴女は去年までもっとすごい人と付き合ってたよねぇ?


「黒木モテるから………」

溜め息なんかついてるし

「心配ですか?」


「えっ、いや………それはねっ」


そっちの心配か
まぁ、ヤンチャしてましたからね前は


「心配ないと思いますよ、今は」

「………いまは?」


俺の言いように、なんとも複雑な表情を見せる彼女を、思わずクスクスと笑う





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