私のいとおしい残念な男達


こうして3人顔を合わせるのも一年ぶりだ



和馬と隣に座る私との、間に立った黒木になんとなく席を譲った


「久しぶり」

座ったまま黒木に軽く手を上げる和馬


私が隣へと座り直すと、和馬から見えない黒木の左手がさり気なく、私の手の指先を握ってきた


んっ……?

そんな目の前で二人が隣同士で向き合っている


「ったく、お前いくら海外だからって連絡ぐらい出来るだろ………?」


久しぶりなのに、和馬の顔を見るなり呆れた顔して開口一番にそう言う黒木

一年って………
長い付き合いの二人にとっては、大したことでもないのかもしれない

「これでも忙しかったんだ、今回だって急だったし」


前と変わらないトーンの会話なのに

昔とは変わった3人の立ち位置


「……………」


いつまでも繋がれた手は、もしかして黒木の
不安?






「………小夏は?」

「えっ?!」

いきなり話をふられたが、聞いてなかった

「今困ってる事、あるだろ?」


黒木を挟んで首を傾けながらこっちを覗き込む和馬

「波留と付き合いだしたことで女子に虐められたりしてない?」


やっぱりそっちの話かぁ

「あぁ〜っ、まあねぇ………」

ここ一週間でそんな事があったちゃぁあったな

「はぁっ!?あったのか?!」


咄嗟に黒木が声を張り上げ
私の意外な答えに、二人から見下ろす様に注目された

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