私のいとおしい残念な男達
「お前は、なんで俺が約束を破る前提で話をするんだよっ!」
どっちにしろ、別れなくても別れても私の後には誰とも付き合えないなんて
そんな「ゆびきり」をしたあんたが悪いんだ
その後は結局、呼び出された会議室に舞子が乗り込んできて、事なきを得たが
「強くなったね、小夏」
クスクスと笑う和馬の前で、昔と変わらず睨み合う私と黒木
とりあえずカフェを出て、駅まで3人で歩いた
でも、やっぱりそこで私は足を止めた
「黒木、私帰るね」
「……………」
「小夏、飲みに行かないの?」
前から振り返った二人に、軽く手を振った
たぶん前によく行っていた居酒屋に行くつもりだったんだろう
「うん、今日遅くなるって言ってないし」
「…………そうか」
黒木は敢えて引き止める事もないみたいだ
「私がいるとほら、帰りの時間気にしなきゃいけないし………」
和馬が、私に対し少し小さな溜め息をついた
「明日はちゃんと空港まで見送りに行くから」
そう言って、私は和馬に笑顔を見せた
「じゃあ、気をつけて帰れよ」
そう言って、和馬の前で私の頭を撫でる黒木
タクシー乗りばへ向かうそんな二人の背中を、少し見送った