私のいとおしい残念な男達
「波留……」
「ん、」
二杯目のビールが来て、それを口に含みながらつまみに手を伸ばしていた
「俺、会社辞めるかも………」
「はぁっ?」
突然のカミングアウトに、俺の手が止まる
「………転職するのか?」
その質問に、少し顔を傾ける和馬
「いや、もう雇われるのはいいかなって」
「じゃあ………起業するっていうのか?」
「まだ考え中だよ、今すぐって訳じゃないし。
いろいろ考えがあってね」
「………そっか」
簡単に言うが、
和馬ならそう出来てしまうかもしれない
「だから………」
ゆっくりとカウンター席の隣から顔を向け視線をこちら側に合わせてきた和馬
「波留さぁ、小夏を俺に返してくれない?」
一瞬、こいつが今何を言ったのかも分からなかった
「だって、まだ付き合って一週間なんだろ?」
「は…………っ?!」
口に出して言ってる意味分かってるのかっ?!
「和馬、ふざけるなよ小夏は物じゃねぇ」
瞬間、頭が熱くなり、
冷静にならなくてはと思いながらも、つい声を荒げてしまう
返すってなんだよ、まるで俺が獲ったみたいな
これでも1年かかってるんだ
きっとふざけてやがる
こうゆう時の和馬は人のあげ足を取りながら、自分優位に話をするんだ
クックッと肩を揺らし俺を覗き込む様に見ている
ほらやっぱり、冗談だろ?
「よく言うよ………人の彼女に手を出してたのは波留の方だろ?」
「な…………っ」