私のいとおしい残念な男達
◆◇◆◇


正直俺はあの頃腐っていた

新入社員の企画なんか採用するつもりなんて、さらさらない会社の上司や先輩たちに

それでも出された企画内容に必死になる同期の仲間がいればまだ救われたのに

一緒に配属された奴は、やたら上に媚び売る奴と理屈ばかり並べて実際には容量の悪い奴と、
それとひたすら僻みっぽい奴

こんな奴らと飲みに来たって面白くも何ともなかった

付き合いで仕方なく誘われた部署の先輩と同期達との飲み会だが、そろそろ何か用事を言い訳に帰ろうと考えていた

が、

二次会へなだれ込むらしく、カラオケかバーかと話している間にとりあえず席を立ち、トイレに行くふりをしてバックレる事にした


「きゃっ!」

サッサと帰る事だけ考えていたせいで、前方不注意で人にぶつかってしまった


「あ、悪い」


軽くぶつかっただけなのにその女はヘナヘナと倒れ込んでしまった

「お、おいっ」

「いたぁぁ〜っ」


そのせいでぶち撒かれたそいつの鞄の中身


「大丈夫か?」

腕を引き上げればおぼつかない足取り

チッ
なんだよ、酔っ払いかよ………


「だいじょ〜ぶれすうっ」

赤い顔してそうは言ったが、ぶち撒かれた財布や化粧品を拾いながらまたヨロケている


「あぶねぇ……っ」


それを支えた俺まで思い切り倒れ込んだ

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