私のいとおしい残念な男達
いまさら何がそんなに印象的だったのか
諦めて、忘れていたそいつを、あの社内発表会で見つけた時は、
また、どうしようもなく胸が騒いだ
「もしかして、あの新ブランドの口紅のCMの企画原案って、その小夏がモデルだったとか?」
「う………」
ただ、何となくイメージがつかなかった企画案が、まるで降りてきたかのように頭に浮かんで、書き上げてみたら採用されただけだ
企画なんてそんなものだろ?
「へぇ………っ」
俺のその話に、感心したように声を上げた
「第一印象の小夏がそんなじゃ、心配性にもなるよな、いわゆる一目惚れってやつだぁ……」
「なんだよ……っ」
クックッとひたすら肩を揺らして笑う和馬
「それじゃあ小夏は覚えてない訳だ」
確かに、あの発表会の時の休憩になぜか和馬と一緒にいたあいつは、俺を見上げてもなんの反応もなかった
それに、飲み会の後に意を決して総務部に捜しに行った時、対応したのは岬舞子で、
俺が「総務部に、パーマの髪に茶色く染めたスタイルのいい女はいるか?」と、聞いたら
「あんた、会社に何しにきてるの?」と、追い返された
いまにして思えば実際はその頃、小夏は部署異動していた
「今日、やっばり小夏も一緒にいたらよかったのに」
ビールからハイボールに変えて、アスパラ巻きを摘まみながらそう言う和馬に、俺は目を細めた