私のいとおしい残念な男達
「気を使ったんだろ?」
カラになった俺の中ジョッキを軽く持ち上げ、店員にお代わりを要求した
「………どっちに?」
「は………?」
「小夏は、俺の前で波留の話をしたがらないみたいに、波留の前でもどうせ俺の話をしないんだろ?」
………確かに
「だから、どっちにも気を使いたくなかったんだろっ?」
二人してこうして、ここににいない小夏の事を語るのは妙な感じだな
「そっか、そうゆうとこあるよなぁ………
小夏って」
何か思い入れがあるかのように言う、和馬のそれが気にさわる
「………和馬」
「ん?」
今日この場に小夏がいないのは、そんな単純な事じゃなくて
「昔みたいに3人仲良くってのは、無理だぞ」
「…………ああ、まぁそれもそうだな」
本当に分かっているのか……?
少し不機嫌になった俺の隣で、頬杖をつき、人の顔を覗き込んできた
「波留は俺と小夏が別れた詳しい理由、
小夏から聞いてないんだな」
「理由?」
そんな事、今さらなぜ言い出したのか正直分からない
「聞いてない、ってか聞かねぇよそんな事」
「なんで?」
首を傾げる和馬に目を合わせた
「それはお前から聞く」
「え………っ」
「別れた理由があるのはお前だろ?俺の目の前で小夏を振ったんだから………」
「確かに」
それに、少なからずそのきっかけを作ったのは俺だし
あの時小夏との事をバラしたりしなかったら
もしかして………と、思う時がある